• HOME
  • 学生・臨床研修医の方へ
  • 大学院希望の方へ

大学院希望の方へ

大学院進学を希望する方へ

口腔外科学講座では卒後研修が修了し、入局を希望する方には大学院への進学を積極的に勧めています。優れた口腔外科医になるために、そして将来のキャリアを形成していく上でも基礎研究の経験は非常に重要であると考えます。
大学院の1年目は口腔外科の基本を着実に身に着けて頂くために臨床業務に従事しますが、2年目以降は研究に専念できる環境が整っています。
大学院入進学希望者は本人の希望や指導教員との話し合いによって、研究内容を決めることが出来ます。当講座では多様な研究を行っており、さまざまな興味に対応できるはずです。
昭和大学大学院歯学研究科の出願期間、試験日等は大学ホームページでご確認ください。また、大学院入学試験受験を希望する方は、出願前に教授面談をして頂く必要がありますので、ご注意下さい。

研究体制

当講座は生命科学の一分野としての口腔外科学の深い理解と実践の為に、科学的見地に基づいた研究活動を行なっています。講座内の顎顔面外科、口腔腫瘍外科といった部門ごとの研究活動はもとより、部門間でも横断的に共同研究活動を行なっています。研究体制は代田、嶋根両教授を責任者として准教授以下の各教官が重層的な研究指導を行なえる体制となっています。

顎顔面外科部門
研究責任者  :代田達夫
臨床研究担当者:近藤誠二 鎌谷宇明 秋月文子
        栗原祐史 塩竈素直 宮崎裕明
基礎研究担当者:椋代義樹
口腔腫瘍外科部門
研究責任者  :嶋根俊和
臨床研究担当者:勝田秀行 八十篤聡

大学院生活について

栗原祐史(平成20年3月 昭和大学大学院歯学研究科顎口腔疾患制御外科学修了)

ウイルスにより発光する癌細胞

大学院時代は「口腔扁平上皮癌細胞に対する新規抗癌ウイルス製剤の効果の検証」をテーマに研究を行いました。
染色体末端のテロメア長を保つことにより細胞の腫瘍性増殖を担うテロメラーゼは、その発現特異性から癌の標的分子として注目されてきました。私の研究グループでは、このテロメラーゼを発現していない正常細胞では増殖せず、テロメラーゼを発現している癌細胞にのみ特異的に働く腫瘍融解ウイルスを作成しました。私はこのウイルスの口腔扁平上皮癌に対する有効性について研究し、また、テロメライシンにGFP遺伝子を組み込むことで可視化したテロメスキャンをヌードマウスの舌癌移植モデルに用いたところ、頸部リンパ節転移の検索が可能であったことを報告しました(Kurihara et al., Clin Cancer Res. 2009 Apr 1;15(7):2335-43.)。口腔外科では、常に臨床応用を目指した研究を行っており、私の研究も現在、共同研究施設にて臨床試験が開始されており、これらの基礎データの一役を担うことができ、充実した研究生活を送れました。大学院時代は、なかなか臨床経験を積むことができず、大学院の進学を希望されている方の中には、不安に思う方もいるかもしれません。しかし、将来、科学的根拠に基づいた診断や治療を実践するためには、大学院時代の基礎的研究の経験は必ず役に立つものと考えます。

葭葉清香(平成21年3月 昭和大学大学院歯学研究科顎口腔疾患制御外科学修了 )

大学院の研究生活の中で約2年間私は国内留学で、東京大学先端科学技術センターゲノムサイエンス分野にお世話になっておりました。研究テーマは口腔癌におけるエピゲノム解析でした。エピゲノムとはゲノムDNA塩基配列そのものではなくその修飾要素として細胞分裂の際に娘細胞に維持・伝達される情報のことで、塩基配列中のCpG配列におけるシトシン(C)のメチル化はその代表的なものであり、私の研究テーマは口腔癌におけるDNAメチル化の異常についての解析でした。研究生活は、細胞・組織からのDNA,RNAの抽出に始まり、各々の実験手技の原理など分子生物学の基礎から徹底的に学ぶことから始まりました。毎週木曜日に研究進捗報告会があり、その報告会をめざして毎週の研究計画を立てて研究に臨んでいました。また、数か月に1度順番でまわってくる研究成果発表では約1時間近く自分が研究している目的の背景から論理的に根拠をもって研究室員の皆さん前で成果発表する時間がありました。研究成果としては、網羅的遺伝子解析から口腔癌おけるメチル化パターンを見つけることができました(図1)。また、メチル化パターンでの口腔癌の層別化にあたり分類の鍵となる異常メチル化の候補遺伝子を同定することができました(図2)。また、メチル化パターンで口腔癌を層別化すると予後と相関する可能性があることを見出しました(図3)。
研究に大いに携わった大学院生活の時間で、一番得たと思えるものは、「どうしてこうなるのか」というただ1つの疑問から、論文を読みあさったり、諸先輩方と討論したりと1つの疑問から物事を深く考える癖が付いた事だと思います。これは、現在の口腔外科の臨床でも非常に生きていることであると思っています。同じ病名であっても同じ症状の患者様ばかりではないので、様々な症例に遭遇した際に頭のあらゆる引出しを使って考えて、疑問があれば納得するまで文献で調べる。このことは大学院時代の研究生活で身についたものであると思っております。大学院をめざす皆さん、今後の歯科医師の人生の中で大学院での4年間の経験は必ず自分を人間として大きく成長させる時間になると思います。

図1
(図1)
図2
(図2)
図3
(図3)

宮崎裕明(平成27年3月 昭和大学大学院歯学研究科顎口腔疾患制御外科学修了 )

現在、口腔癌では、外科的切除療法や放射線や抗癌剤を用いた放射線化学療法が行われるようになり、初期癌における治療成績は向上してきています。その一方で進行癌や再発癌などの難治性癌における治療成績は未だ十分に改善しておらず臨床上の大きな問題となっています。近年、癌細胞の中には、高い腫瘍形成能および既存の治療に抵抗性を示す癌幹細胞と呼ばれる癌細胞が存在することが報告され、この癌幹細胞こそが難治性癌の本態であると考えられつつあります。したがって、癌幹細胞を標的とした治療法の確立は現在の口腔癌治療を飛躍的に進歩させる可能性を秘めていると考えられます。しかし、口腔癌における癌幹細胞の性状は十分に検討されていないのが現状です。そこで私は、口腔癌における癌幹細胞の同定および性状解析を目的に研究を行っています。われわれはこれまでに、口腔癌細胞において、抗癌剤(シスプラチン)耐性の獲得とともに、癌幹細胞マーカーの1つであるCD44の発現が変動し、癌の浸潤や転移に関わる上皮間葉移行が誘導され高い造腫瘍性を獲得した癌幹細胞集団が形成されることを明らかとしました。さらに興味深いことに、このとき癌幹細胞特異的に発現が亢進する膜タンパクが存在することを見出しています。この結果は、口腔癌における癌幹細胞の形成機構の解明および、口腔癌における癌幹細胞の同定に寄与し、将来的に癌幹細胞を標的とした治療法の開発に発展することが期待されます。