わが国の歯科医療水準はこの30年間で目覚ましい進歩を遂げています。しかし一方では、歯科界を取り巻く環境が年々厳しさを増していることを、皆さんも実感されていることと思います。「歯科医師過剰」という言葉で語られている歯科医師の将来に対する不安や閉塞感は今に始まったことではありません。30年ほど前に歯学部学生であった私が聞かされた「予防歯科がこのまま発達して行くと齲蝕がなくなるから歯科医師は不要になる」との話を思い起こしますと、「歯科医師過剰」は何時の時代になっても不変なものであろうと思われます。全ての歯科医師が従来の一般歯科を指向するならば、10万人にも達する歯科医師数は確かに多すぎると言えます。このような時代であるからこそ、皆さんは自分たちが活躍できる専門分野を確立すべきではないでしょうか。